『こんな犯罪』 「猿若町捕物帳」シリーズの第2弾。 今回は吉原が舞台。巴之丞、利吉ら猿若町の面々も絡んでくるが、やや影が薄い。 玉島千蔭の見合い話なんかも出てきて楽しかった。 私は、あんまりこの著者の作品は評価しないのだが、本書は満足すべき水準に達しているのではないかと思う。思いもかけない結末だし、動機のグロテスクさも味わいがある。読後感の嫌さ加減も充分。 あとは、著者の独特の美意識に付いていけるかどうかだ。 幻冬舎 エ円